第九十八回 東をどりへ ご支援のお願い

急に春めき雨に戻る寒さ、今年も三寒四温に季節替りを感じます。皆様方のご健勝を祈念すると共に日頃の新橋花柳界へ賜りますご厚誼への御礼を申し上げます。

九十八回目の東をどりを今年も五月の演舞場に開催致します。今回の舞台は花柳流を引き継ぐ若き家元、五世寿輔の手掛ける初の東をどりです。四季の移ろいに加えて、時の移ろいを忍ばせた構成に 季-とき-めぐる新ばし と云う全体像が現れます。序幕の振付を西川流と尾上流が担い、二幕目が花柳流、芸者衆の稽古が始まりました。

永きに渡ったコロナ禍に街は力を合せて、料亭、芸者衆、共に廃業なく過ごしました。その終息を感じる中の今回は幕間の楽しみを再開します。花柳界に在ります様々な文化を楽しみに替えて表せるよう準備に努めています。百回目の東をどりがいよいよ近づきます。それは踊りと共に日本の文化が演舞場に集う催しにと考えております。そこに向け、引き続いてのご支援を頂ければ有難き事と存じております。

昨年は名入りの招木札をロビーに掲げ、終演の後にお渡ししました。板が重ってもいけません。今回は天紅の短冊にお名前を掲げさせて頂きます。東をどりを宜しくお願い申し上げます。

令和五年 卯月 吉日

書家 橘右之吉

橘流寄席文字・江戸文字書家 (株)UNOS代表。東京生まれ。橘流寄席文字家元の故・橘右近師に師事し昭和44年に右之吉の筆名を許される。平成中村座、国立劇場、演芸場、そして湯島天満宮、柴又帝釈天など有名社寺の筆耕も数多く手掛ける。新橋連中奉納の浅草寺本堂の大提灯「志ん橋」も右之吉による。氏考案の千社札シールは新橋はもちろん、全国の花柳界で使われている。