第九十九回 東をどりへ ご支援のお願い

春を迎えて寒さが戻り、今年の桜は四月に咲きました。桜花の候、皆様方のご健勝を祈念すると共に日頃、新橋花柳界へ賜りますご厚誼に御礼を申し上げます。

さて、月替わる五月は東をどり、二四日より四日間、新橋演舞場に九十九回目の開催を迎えます。総合演出を手掛ける尾上流家元から新ばし白花繚乱と表題が届きます。来年は百回、百花繚乱の一を外して白き花、そこには言葉遊びの洒脱と華やかな演出の意図を含みます。

序幕は格調たかく花柳流は長唄、西川流は清元の踊りで幕を開けます。二幕目、転換の舞台を尾上流の振付けに花柳の家元も加わると聞きました。いよいよ芸者衆の稽古も始まる頃、新たに二人が初舞台に挑みます。白を基調に鮮やかに転ずる舞台、どうぞご期待ください。

新橋花柳界に在ります文化、それを東をどりに表わすよう努めてきました。今まで頂きますご支援には招喜札、天紅の短冊と江戸の古事を映してロビーを飾りました。今回は祝いビラ、色とりどりの紙に縁起物とご芳名を掲げる趣向です。引き続きまして、東をどりへご支援を賜りたくここにお願い申し上げる次第です。 

  令和六年 卯月 吉日

東京新橋組合
頭取 岡副 真吾

東をどりのご贔屓筋へ

支援金額・一口 五万五千円

頂きますご支援への御礼は

・演舞場のロビーに – 東をどりご贔屓筋 – としまして
      縁起物 祝いビラ にご芳名・店名を入れて掲示します

・ご希望公演の切符二枚をお渡しします

祝いビラとは?

その昔、花柳界では祝い事があると花に替え、「祝いビラ」を誂え、貼り出しました。

大正11年出版の「古今繪びら考」によると「開業名披露目等には、先ず親類友人は申すに及ばず、あらかじめ『貴名あるビラを一枚頂戴致したき』由を願って寄贈を受け、これを室内外一杯に貼り下げ〜」とあり、その書くところは、酒百樽、蒸籠百荷、金何千両、魚一網、大入、目出たい繪や言葉など、景気の良いビラが沢山並びました。

現在では芸者衆の「お披露目」でも見かけることの少なくなった、慶事に付き物の「祝いビラ」を、新たに「東をどり」で蘇らせ、特別仕様でお作りいたします。

書家 橘右之吉

橘流寄席文字・江戸文字書家 (株)UNOS代表。東京生まれ。橘流寄席文字家元の故・橘右近師に師事し昭和44年に右之吉の筆名を許される。平成中村座、国立劇場、演芸場、そして湯島天満宮、柴又帝釈天など有名社寺の筆耕も数多く手掛ける。新橋連中奉納の浅草寺本堂の大提灯「志ん橋」も右之吉による。氏考案の千社札シールは新橋はもちろん、全国の花柳界で使われている。

2023年の短冊の様子